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仙台地方裁判所 昭和62年(特わ)428号 判決 1987年11月18日

国籍

韓国

住居

宮城県柴田郡大河原町大谷字町向一一六番地の二八

遊技場経営

永井清こと

安元燮

一九二七年三月二二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官向井壯出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、宮城県柴田郡村田町字押切八一番三号等において、パチンコ店を経営するなど遊技業等を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外して帳簿を作成するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五九年分の実際総所得金額が一億一三九八万五二六八円であったのにかかわらず、同六〇年三月一四日、同郡大河原町大谷字末広一二番一号所在の大河原税務署において、同税務署長に対し、同五九年分の総所得金額が二六〇万一六八四円で、これに対する所得税額が二五万一九〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により同年分の正規の所得税額六七〇三万五四〇〇円と前記申告税額との差額六六七八万三五〇〇円を免れ、

第二  昭和六〇年分の実際総所得金額が一億一四五六万三三〇三円であったのにかかわらず、同六一年三月一二日、前記大河原税務署において、同税務署長に対し、同六〇年分の総所得金額が三三八万一五三二円で、これに対する所得税額が四二万九〇〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により同年分の正規の所得税額六六六六万八〇〇〇円との差額六六二三万九〇〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する昭和六一年九月二六日付、同年一〇月七日付、同月二九日付、同年一二月一二日付、同月二四日付、同六二年一月一三日付、同月二〇日付、同月二九日付、同年二月四日付、同月六日付二通、同月一〇日付二通及び同月二五日付各質問てん末書

一  渋谷よね子及び渋谷妙美子の検察官に対する各供述調書

一  渋谷妙美子(五通)及び早坂寿雄の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の捜査報告書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料

一  大蔵事務官作成の売上金額調査書

一  大蔵事務官作成のたな卸商品調査書

一  大蔵事務官作成の仕入金額調査書

一  大蔵事務官作成の必要経費調査書

一  大蔵事務官作成の青色専従者給与調査書

一  大蔵事務官作成の青色申告者控除調査書

一  大蔵事務官作成の事業専従者控除調査書

一  大蔵事務官作成の不動産所得調査書

一  大蔵事務官作成の利子所得調査書

一  大蔵事務官作成の雑所得調査書

一  大蔵事務官作成の総合短期譲渡所得調査書

一  大蔵事務官作成の一時所得調査書

一  大蔵事務官作成の分離譲渡所得(短期)調査書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和五九年一月一日、至同年十二月三一日分)

一  押収してある昭和五九年分所得税確定申告書(昭和六二年押第七八号の二)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和六〇年一月一日、至同年十二月三一日分)

一  押収してある昭和六〇年分所得税確定申告書(昭和六二年押第七八号の一)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、判示各罪のいずれについても懲役刑及び罰金刑を併科することとし、なお情状により罰金刑につきいずれも同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑に付いては同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年六月及び罰金三〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 村上博信)

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